防災・訓練
富士山噴火時のドローンを使った状況把握調査に関する実証実験
概 要
富士山が噴火した場合を想定した無人航空機運用の実証実験を行いました。
無人航空機の高標高域での飛行能力および撮影方法を確認するとともに、得られるデータの精度についても検証しました。
- 背景‧課題
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噴火時の迅速な防災対応:
火口の位置や溶岩の流れを素早く確認することが重要 -
高標高域の飛行が必要:
火山地域は標高差が大きいが、高標高域からの確認でなければ、広範囲の状況把握は困難 -
無人航空機の飛行が困難な環境:
火山地域は低温かつ強風、あわせて気象が不安定
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噴火時の迅速な防災対応:
- 解決策
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無人ヘリコプターと小型ドローンを使用した実験:
火山地域での飛行能力と撮影方法、取得データの精度を検証 -
無人ヘリコプターは遠隔操縦で実験:
LTE通信や衛星回線を使用した遠隔操縦で高標高域を飛行し、機体搭載のカメラ(Go Pro)でデータを取得 -
小型ドローンは高高度を飛行:
夜間と日中に分けて高高度を飛行し、可視カメラとサーマルカメラを使ってデータを取得
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無人ヘリコプターと小型ドローンを使用した実験:
- 導⼊効果
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噴火時のドローンの有用性を確認:
火山地域での飛行能力等に問題はなく、無人航空機が噴火時の素早い状況把握に有効であることを確認 -
無人ヘリコプターの優れた飛行性能を実証:
安全上の理由から有人ヘリコプターが飛行出来ない場合に、無人ヘリコプターは代替として同等の活躍が期待できることを実証 -
小型ドローンの高性能なカメラが活躍:
高性能なズームカメラやサーマルカメラを使うことで、高高度飛行時に上空からの状況把握ができ、夜間の火山の地形変化等も観測可能であることを確認
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噴火時のドローンの有用性を確認:
業務概要
- 【実施日】
- 2024年11月14日
- 【場所】
- 富士山5合目(御庭ヘリポート)
- 【目的】
- 無人航空機を用いた富士山噴火時の状況把握を想定した実証実験
- 【使用機体】
- FAZER R G2、Mavic 3 Thermal
飛行性能の検証結果
◆FAZER R G2
標高約2400mで飛行し、航続距離は5kmです。今回の条件では、燃料8Lで最大60分間、飛行が可能です。
高標高・低温の環境下でも、遠隔操縦で飛行できることを確認しました。


◆Mavic 3T
最大距離約2km、離発着場所からの高度約1500mで飛行しました。
高高度・低温の環境でも通信状態やバッテリーに異常は確認されず、毎秒10m以下の風速なら問題なく飛行できることを確認しました。


データ精度の検証結果
◆FAZER R G2
機体搭載のカメラについて、LTE通信では河床の礫や流木を視認できることを確認しました。
衛星通信環境下では、画質は劣るものの溶岩層や地表の状況を識別できることを確認しました。
GoProで取得したデータは高画質ではあるものの、撮影方向が固定される難点を課題として認識しました。


◆Mavic 3T
夜間においてはドローン搭載のサーマルカメラにより、高高度からでも裸地と樹林帯の境界や積雪帯の温度差を確認できました。
日中においても、逆光等で可視カメラでの撮影が難しい場合にサーマルカメラを用いることで、斜面や谷の地形を確認できました。
また、ズーム撮影では1.5km離れた場所から、崖上の小さな礫を識別できることを確認しました。

